私は、数値シミュレーション分野において下図に示すような形で研究に取り組んでいます。



つまり、研究活動の視点、立場として、1)アプリケーション、2)応用数学からの視点、3)高性能計算・計算機工学からの視点の3つを考えています。3つの立場すべてに研究の対象があり、それらの成果を青字で示すような学会誌や会議で発表することを目指しています。また、これらの3つの研究視点は独立なものではなく、図に示すように互いに関連しています。私の場合、まず研究の対象とする問題は実践性、実用性を重視してアプリケーション分野から抽出します。設定した問題に対しては2種類のアプローチが考えられます。ひとつはスーパーコンピュータや並列・分散処理といったハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)技術を応用することにより問題の解決を目指すものです。もうひとつは、問題の困難さの本質を明らかにし、応用数学的な立場からその問題を解く方法を研究することです。そしてこれらの2つのアプローチはそれぞれ独立でもありうるわけですが、国際的にみても課題として認識されているような実用上の諸問題は応用数学的アプローチとHPC技術の両者を必要とするような困難なものが少なくありません。

上記の3つの研究視点から具体的にどのような研究が考えられるのか述べたいと思います。アプリケーション分野における研究では、問題を解く、あるいは問題が解けるということが重視されます。即ち、数値シミュレーションの結果が意味のあるものでなくてはなりません。私がこれまでに取り組んだテーマとしては大規模高周波電磁場解析があげられます。現在は、共同研究として、地震サイクルシミュレーションや磁性材料の高速解析に必要な技術開発に取り組んでいます。

応用数学に関する研究では、ある種よく知られた数学的な課題を解くアルゴリズムの開発や既存アルゴリズムの並列化といったことが研究課題となります。これらの課題は、私の場合アプリケーション分野からとりますが、その研究課題は当該の応用分野だけでなく、他の応用分野においても重要な一般性のあるものとしています。こうした汎用性、一般性のある課題を対象とした新規アルゴリズムの開発は当然困難なものであるわけですが、逆に多くの応用研究で使ってもらえる可能性があり、科学技術における貢献度はより高くなります。

高性能計算・計算機工学からの視点では、開発したアルゴリズムを実装する上での工夫や最新の計算機技術を活用することにより、応用分野における現時点での限界点を示すといったことが研究の課題となります。これらの研究課題はやや他分野における応用性といった点に欠けると思われがちですが、実装上の工夫は他の計算機や手法でも活用できるものが少なくありません。また、スーパーコンピュータの性能を最大限に引き出したアプリケーションはある意味、現時点での科学のある一分野の限界点を示すもので、掛け値なしに世界最先端というべきものです。学生さんはそうしたスーパーコンピュータを活用する機会を与えられているわけでぜひ研究に生かしてもらいたいと考えています。

以上、簡単ではありますが、私の研究への取り組み方を述べさせてもらいました。学生の方で私と一緒に研究する場合、上記の3つの立場のひとつから研究に取り組んでもらいます。3つの立場のどれに興味があっても構いません。詳しい話を聞きたい場合はぜひ、ご連絡ください(iwashita .at. iic.hokudai.ac.jp)。